ロボットスペース技術資料

ロボットベース構成要素の強度検証

  1. 鋳物
  2. タップ
  3. ボルト
  4. アンカーボルト
強度比較
鋳物せん断強度 (KN)
ロボットシリーズ 鋳物せん断強度
トール 3230
ミディアム 2727
ミニ 1286
最肉薄部の計算値
タップ破壊強度 (KN)
サイズ タップ破壊強度
M8 94以上
M10 177以上
M12 268以上
ボルト引張り強さ (KN)
サイズ 引張り強さSUS304
M8 72
M10 116
M12 168
アンカーボルト引き抜き強度 (KN)
サイズ オールアンカーの引抜き強度 ケミカルアンカーの引き抜き強度
M10 9 50
M12 13 60
M16 20 102

図の様にロボットベースを床にオールアンカーで固定し、これにロボット固定して垂直方向に引き抜く荷重をかけた場合の各要素を比較したものです。


特にタップの破壊強度は、実際に引張試験を実施した結果より、ボルトの許容荷重より大きい事が明確になりました。


最も弱いのは、アンカーボルトの引き抜き強度になります。ロボットの搬送重量や速度による衝撃荷重を考慮しベースの固定方法を検討し、安全に御使用ください。(参考資料・3)

以下それぞれの詳細データを記します。

(mm)
外周 内周 肉厚 AC7A素材
φ210 φ180 15 140N/㎟以上 1285KN

AC7Aの引張り強度はJIS規格により140N/㎟以上と定められておりますが、弊社ではAC4Cの送電線用鋳物製造時に溶解チャージ毎に成分分析と引張り試験を実施しており、JIS規格を下回った事はないため、JIS規格より算出いたします。

ロボットベース鋳物タップの強度詳細

AC7A鋳物のテストピースにタップを加工し引抜き試験を実施

  • タップには6山(1D)ボルトをねじ込み試験実施
  • ヘリサート有と無しで強度比較
(6山=1D)
タップサイズ タップ破壊荷重 ヘリサート破壊荷重 強度比較
M8 15.9 KN 24.8 KN 156%
M10 28.8 KN 36.2 KN 126%
M12 42.2 KN 51.3 KN 122%

試験結果

  • ヘリサートを挿入すことで2割以上破壊強度がアップする
  • 試験では、ボルト破断によりタップ強度のデータを取る事が出来なかった為、6山ねじ込みで実施、実機では12山(2D)を挿入する為、ロングボルトの使用でさらなる強度アップが可能
  • 試験はボルトをSUSから高張力ボルトに変更して実施

参考資料・1

ロボットベースではAC7Aを採用しておりますが、他の材質との比較もM10で試験。

(M10/6山)
材質 タップ破壊荷重 ヘリサート破壊荷重
AC7A 28.8 KN 36.2 KN
AC2B 34.2 KN 38.8 KN
AC4C 20.7 KN 21.3 KN

試験結果

結果としては、AC2Bがタップとしては強度が高いが、ヘリサートを挿入すると

AC7A≒AC2B

これに比べ、熱処理していない状態では、AC4Cが極端に低いことが分かる。

参考資料・2

SUSボルトを12山ネジ込んだ場合の試験結果で、全てボルトが破断しタップの強度データは得られませんでした。

タップサイズ 最大荷重 破断位置
M8 23.5 KN ボルト中央部
M10 44.4 KN ボルト中央部
M12 67.1 KN ボルト中央部

ボルトの許容荷重(参考)

ボルトの強度は強度区分や材質で様々ですが、一般的な並目ネジ3種類3サイズのボルトの強度を比較

(KN)
ねじの
呼び
引張り荷重
SS400 SCM400 SUS304
引張り強さ 耐力 許容応力 引張り強さ 耐力 許容応力 引張り強さ 耐力 許容応力
400N/㎟ 245N/㎟ 98N/㎟ 980N/㎟ 834N/㎟ 255N/㎟ 520N/㎟ 205N/㎟ 184N/㎟
M8 14 9 3 34 29 9 18 7 6
M10 22 14 5 54 46 14 29 11 10
M12 32 20 8 79 67 21 42 16 15

アンカーボルトの引抜き荷重(参考)

(KN)
ねじの
呼び
引張り荷重
 オールアンカーCタイプ ケミカルアンカー(各メーカー)
引張(長期) 引張(短期) 許容引張強度(長期) 引張強度(最大) 比較長さ
M10 2.23 4.46 5.5~12.4 44.1~56.4 L=90
M12 3.21 6.42 11~15.1 63~72 L=100
M16 5.08 10.17 18.9~25.4 100~115 L=130
資料 サンコーテクノカタログより 各メーカーのカタログより

ロボット非常停止時の衝撃荷重概算早見表 (参考値)

ロボットの衝撃荷重を下表より求め、転倒モーメントからアンカーボルト等の引抜き荷重を算出し、充分な安全率を見 込んでご使用ください。

転倒モーメントはロボットの合成速度が最大となる方向で算出してください。(図の→は参考)

ロボット非常停止時の衝撃荷重 (参考値)(KN)
衝突停止
時間
t=0.01sとして
ロボットの合成速度(ワークの移動速度) (m/s)
搬送重量
(kg)
12345678910
20.20.40.60.81.01.21.41.61.82.0
30.30.60.91.21.51.82.12.42.62.9
40.40.81.21.62.02.42.73.13.53.9
50.51.01.52.02.52.93.43.94.44.9
60.61.21.82.42.93.54.14.75.35.9
70.71.42.12.73.44.14.85.56.26.9
80.81.62.43.13.94.75.56.37.17.8
90.91.82.63.54.45.36.27.17.98.8
101.02.02.93.94.95.96.97.88.89.8
111.12.23.24.35.46.57.58.69.710.8
121.22.43.54.75.97.18.29.410.611.8
131.32.53.85.16.47.68.910.211.512.7
141.42.74.15.56.98.29.611.012.313.7
151.52.94.45.97.48.810.311.813.214.7
161.63.14.76.37.89.411.012.514.115.7
171.73.35.06.78.310.011.713.315.016.7
181.83.55.37.18.810.612.314.115.917.6
191.93.75.67.49.311.213.014.916.818.6
202.03.95.97.89.811.813.715.717.619.6

搬送重量=ワーク+ツール+ロボットアーム


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